『痩せ遺伝子』の同定と解析

skinny-gene生命科学関連

ロックダウンのために、家で座っている時間が長くなったせいで、お腹がポヨポヨになってきた気がしています。。。

ただ、痩せたままの人もいらっしゃいますよね。(羨ましい限り)

今回はALKという『痩せ遺伝子』を発見したという報告とそのメカニズムについて解説します!

大規模な遺伝子検査によって、痩せ遺伝子ALKを発見!

まず、痩せている人 (BMI 18以下)と普通の人との遺伝子の違いについて、調べてみました。すると、痩せている人たちの間では、「ALK」(アルクと呼びます)という遺伝子が機能しなくなるような変化が観察されました。

もともと、ALK遺伝子はがんの原因となることがわかっていましたが、肥満や痩せとの関係はわかっていませんでしたので、研究者たちはどのような機能があるかについて調べてみることとしました。

ALKをなくすと、ハエで中性脂肪が減少

ALK遺伝子の機能を調べるために、ハエでALK遺伝子が働かなくなる操作を行いました。そのようなハエでは、エサを食べる量自体は変化が無いにも関わらず中性脂肪が少なくなるという変化がみられました。

ALKをなくすと、マウスは痩せる

さらに、マウスにおいてALK遺伝子をなくした場合にはどのような変化が生じるかを調べてみました。

ALK遺伝子がなくなってしまっても、マウスには特に大きな影響は観察されませんでした。

しかし、体長はあまり変化が無いものの、ALK遺伝子がないマウスでは体重がより軽くなり脂肪が少ないということがわかりました。また、食事量・運動量は普通のマウスと変わりありませんでした。

ALKが無いマウスは、高カロリー食でも太らない

もちろん、マウスも脂肪が多い高カロリーの食事を食べるとマウスも太ってしまいます。

しかし、ALK遺伝子がないマウスにおいては、高カロリーの食事を取ったとしても太りにくいことがわかりました!(うらやましい。。。)

ALK遺伝子がないマウスにおいては、脂肪細胞で脂肪が分解されやすい傾向にあることもわかりました。(うらやましい。。。2回目)

まとめ

ALK遺伝子は、脂肪を分解しにくくすることで体重を増加させる

逆に、ALK遺伝子がないと、脂肪の分解が促進し体重を減少させる

肥満の予防のために、ALK遺伝子の機能を低下させるなどという治療が行われるようになるかもしれません。

専門家向きのまとめ

  • 肥満につながる遺伝子変異は多く判明しているが、やせにつながる遺伝子はほとんど見つかっていない。
  • GWASによって、BMIが18以下のヒトに多い変異の一つALKを同定。
  • ALKのindelは、アジア人、ヨーロッパ人でほぼ同程度みられ、アフリカ人ではやや少ない。
  • ALK変異はがんの原因となるが、がん以外の状況における役割は不明。
  • ハエにおいて、ALKのKDにより、食事の量は変化しないがトリグリセリドが減少する (寿命はやや短い)
  • ALKの過剰発現によっては、トリグリセリドの量も寿命も変わらない
  • ALKのKOマウスは、メンデル比にそって誕生
  • KOマウスは、精神・運動機能において著名な変化を示さない
  • KOマウスは、同じ体重で生まれ、体長・食事量・運動量はWTと同等だが、5週以降で体重がより軽く、脂肪が少ない
  • KOマウスでは、耐糖能がやや高く、Adiponectinもやや高い
  • KOマウスは、高カロリーな食事を同程度の量食べても、体重増加が少ない (ヘテロマウスでも同様)。
  • つまり、KOマウスでは摂取カロリーあたりの体重増加が少ない。
  • KOマウスにおいてはノルエピネフリン(NE)が増加し、さらに脂肪細胞における脂肪分解が促進
  • ALKは中枢神経系、特に室傍核(PVN)で多く発現
  • AAVをPVN付近に注入することで、PVN(付近)特異的にALKをKOすると、やはり体重増加が少なくなった
  • ALKのKOにより、食事依存的な肥満に抵抗性になることが判明。

参考文献

Identification of ALK in Thinness

Identification of ALK in Thinness
There is considerable inter-individual variability in susceptibility to weight gain despite an equally obesogenic environment in large parts of the wo…

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