新型コロナウイルス関連研究(2020/4/25-05/01)をNature medicineの記事を元にまとめてみました!
今週のハイライトは、やはりレムデシビルの治験報告です。
個人的に一番意外だったのは、RT-PCRのサンプルについて、標準的な鼻腔拭い液にくらべ唾液のほうが診断感度が高いという結果でした!
臨床研究
- 特効薬として期待されるRNA合成酵素阻害薬 (レムデシビル [remdesivir])について、2つの治験で矛盾。
- 中国の治験では、レムデシビルの優位性は示されず。大きな原因として、十分な数の患者を集められず、検出力が足りなかったためか。
- 一方、アメリカの治験では、回復に必要な期間の中央値が15日からレムデシビルにより11日へと短縮。ただし、生存については優位性が示されず。
- IL-6抗体のSarilumab (サリルマブ)の治験について、はっきりとした優位性は示されず。第3相試験では、「致命的(critial)」な患者を対象に、高用量(400mg)にフォーカス。
こちらでも治験の結果についてはまとめています!
検査・診断関連
- 鼻腔の検査には困難が伴う。新型コロナウイルスのRT-PCRの検体について、鼻腔拭い液に比べ、唾液サンプルのほうがより感度が高いという驚きの結果。
- RT-PCRよりも簡便な、等温反応を用いるLAMP法 (loop-mediated isothermal amplification)と単純な呈色反応を組み合わせた診断法の開発。
- CT画像をAIより解析することで、より高いリスクの肺炎やARDSに発展する患者の早期の特定に成功。
- イギリスで10万人を集めて、血清学検査(抗体検査)の正確性や信頼性について検証するREACTが始動。
前臨床研究
- 新型コロナウイルス感染症の患者の免疫応答について。気管支肺胞洗浄液(BALF)により、1型インターフェロン型の反応が観察され、同時に樹状細胞や好中球についても増加。
- 1型インターフェロンにより、上気道において、新型コロナウイルスが受容体として用いるACE2の発現が増えることが判明。このため、感染が感染を呼ぶという悪循環が生み出される可能性。重要なことに、マウスではこのACE2の発現上昇はみられず、実験系の選択が必要。
- 大腸由来の培養細胞、大腸のオルガノイドにおいて、新型コロナウイルスの感染と増幅が生じる。大腸においては、3型インターフェロンがウイルスの増幅に関係。
疫学・公衆衛生
- 新型コロナウイルスのエアロゾルが患者のトイレに特に多いことが判明。
- 10歳以下の観戦報告は少ないものの、実際には大人と同程度に感染してしまうため注意が必要。中国でもドイツでも同様の報告。
参考(引用)文献

COVID-19 Research in Brief: 24 April to 1 May, 2020
All the research you need to know to keep on top of how science is responding to the COVID-19 pandemic
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