A: ほぼ影響がなく、むしろそれぞれの個体差のほうが大きい。
最近、腸内細菌と食事との関連について注目されています。また、腸内細菌によって、肥満などが引き起こされているかもしれないとも言われています。
そこで今回は、腸内細菌と食事との関連を厳密に調べた研究を紹介します。
研究方法 (ボランティアの方々はかなり大変そうです。。。)
今回の研究では37人のボランティアが参加されましたが、最後まで研究プログラムをやり終えたのは25人だけでした。おおよそ3分の1の方がドロップアウトしたことになります。それはこの研究がかなり大変なためです。
まず、このボランティアの方々は1ヶ月間入院することになります。また、その間は厳密にカロリーコントロールをされた食事のみしか取れません。。。
ボランティアはランダムに(無作為に)2つのグループに分けられて、
片方のグループAは、
普通の食事(4日) => 高カロリー(3日) => 普通の食事(3日) => 低カロリー(3日)
もう片方のグループBは、
普通の食事(4日) => 低カロリー(3日) => 普通の食事(3日) => 高カロリー(3日)
という食事を取ることになります。このように高カロリーから低カロリー、逆に低カロリーから高カロリーと両方向から観察することで、カロリーコントロールの影響を厳密に観察することが可能となります。食事の影響というのは、このくらい頑張って調べないとわからないのです。
カロリー制限によって、腸内細菌は数も種類も若干増える!
研究者たちは、「低カロリー食であれば、腸内細菌も”飢えて”数が少なくなるのではないか」という予測を立てました。
しかし、予想に反して、腸内細菌はカロリー制限よって、若干(5%程度)増えるということがわかりました。さらに、カロリー制限により、腸内細菌の種類も若干増える傾向にあることがわかりました。
ただし、それぞれのボランティアの間の個人差のほうが大きく、カロリー制限の影響というのはあまり大きくないことがわかりました。また、カロリー制限によって、腸内細菌が増えたこと、また種類が増えたことが果たして人間にとって良いことなのかどうかはわかりません。
カロリー制限によって、カロリーの吸収率が低下する!
研究者たちは、さらにカロリー制限による栄養の吸収率を調べました。具体的には、便に残ったカロリーを測定することで、栄養の吸収率を推測しました。
先程同様に、研究前に、「カロリーが少ない食事であれば、体はより頑張って栄養を吸収するので、カロリーの吸収率は高くなるのではないか」という予測を立てました。
しかし、再び予想に反して、カロリーの少ない食事のほうがカロリーの吸収率がわずかながら下がる傾向にあるということがわかりました。つまり、カロリー制限によって、そもそも食べたカロリーが少なくなるだけでなく、その中の吸収率についても低下するので、体が吸収したカロリーとしては更に少なくなることがわかりました。
研究は予想外な結果ほど今後に役立つ
カロリー制限について、2つ予想外の発見を研究者たちは見出すことができました。このような予想とは逆の結果ほど、興味深く、今後の発展や肥満防止などの医学的な応用に役立ちます。
また、上記のように厳密な計画のもとで実験を行ったために、予想外の観察ができたということになります。
様々な健康食品などが販売されていますが、その効果がこのような厳密な計画のもとで確認されていることはほとんどなく、今後はこのようなきちんとした検証がもとめられるかと思います。
参考文献

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