【解説】Q: 新型コロナウイルスは人工的に作られた可能性はあるのか?

医学関連
from CDC, courtesy photo

A: その可能性は極めて低い (研究者であればもっとうまくつくる)

新型コロナウイルスが、人工的に作られてばらまかれた??

ウイルスの由来については、様々な噂が飛び交っています。

例えば、武漢の研究所から漏れたとする説、中国の生物兵器なのではないかという説、さらに米軍が持ち込んだのではという談話、まで飛び交っています。

以前は、「設計図」の観点から、新型コロナウイルスの由来について解説しました。

今回は、ウイルスの「形・構造」という生命科学の観点から由来を検証をした論文がありますのでご紹介させていただきます。

ウイルスがヒトに侵入するのに必要な「突起」の形が重要

https://www.mdpi.com/2076-0817/9/3/231より

このように、ウイルスはそのままではヒトの細胞に侵入することはできず、ウイルスが持つ「突起」をヒト細胞の表面にある「受け手」にくっつけることで侵入します。ウイルスの突起が、ヒト細胞側の受け手によりくっつきやすいために、新型コロナウイルスはこれほどまで蔓延してしまっていると考えられています。(この点についてはまた後ほど記事にするかもしれません。)

そのため、研究者たちは、新型コロナウイルスが持つ「突起」に関する研究を行っています。もちろん、これはウイルスの突起の働きを邪魔することが出来れば、それが感染の予防につながるからです。

新型コロナウイルスの突起の形は、研究者が見つけた理想形からは遠い

「新型」コロナウイルスというぐらいなので、「旧型」コロナウイルスも存在します。研究者たちは、すでにこのような旧型コロナウイルスの研究の一貫として、突起を改良し、オリジナルのコロナウイルスよりも強くヒトの受け手に結合できる、いわば理想形のウイルスの突起(下図左側)を作り上げていました。

(もちろん、これは生物兵器を作ろうなどというものではなく、純粋にどのようなコロナウイルスの生物学的な解析のために行われています。このような解析のお陰で、今新型コロナウイルスの研究が進んでいます)

https://jvi.asm.org/content/94/7/e00127-20より

ウイルスの突起はタンパク質からできています。更に、アミノ酸が数百お互いに一つの鎖を作ることで、タンパク質ができます。

それぞれの右側に着目していただきますと、F472(理想形)、F486(新型コロナウイルス・理想的と書いた矢印)という文字が見えるかと思います。このFというのは、アミノ酸の一つフェニルアラニンを表します。旧型コロナウイルスとは異なるアミノ酸であることから、新型コロナウイルスは一歩理想形に近づいたということがわかります。

一方で、その他のポイントについてはほとんど左右で一致しないことから、まだまだ改善の余地があるということがわかります。

研究者らは、旧型コロナウイルスを研究する中で5つのアミノ酸を変化させることで、とても強力なコロナウイルスを作り出すことを確かめました。一方で、実際の新型コロナウイルスは、機能を高める上で重要な5つのうちの1つのみのアミノ酸を変化させたことがわかりました。

今回の新型コロナウイルスが人工的に作られたものであるとすると、かなり不完全なものであることがおわかりいただけるかと思います。つまり、

「科学者であればもっとうまく設計する」

「人為的に作られたウイルスである可能性は極めて低い」

と考えられます。

一方で、研究者が頭をひねって考えた5つのうち1つのアミノ酸の変化を、なんの知能も持たないようなコロナウイルスが進化の中で自動的に見つけ出したというのは、少し怖い気もします。(進化論を考えれば当たり前なのですが)

参考文献

Receptor Recognition by the Novel Coronavirus from Wuhan: an Analysis Based on Decade-Long Structural Studies of SARS Coronavirus
Recently, a novel coronavirus (2019-nCoV) has emerged from Wuhan, China, causing symptoms in humans similar to those caused by severe acute respiratory syndrome...

コメント

タイトルとURLをコピーしました