A: 予防できる可能性はありそうだが、現時点では良いとも悪いとも言えない
今回の対象としている論文は、他の研究者たちの批評(批判)をされていないものになるので、信頼性で若干劣りますがご了承ください。
(20/04/11追記)
・BCGは、新型コロナウイルスの防御策として、 現時点で推奨はされない (日本ワクチン学会)
・すでに結核にかかったりBCGを行っている大人がBCGを受けると強い副反応 (アレルギー反応など)を示す危険性がある (日本小児科学会)
・実際に、大人がBCGを誤った形で接種されてしまい、副作用が観察されてしまっています。(毎日新聞)
そのため、現時点でBCGを受けることは、むしろ「危険」であると言えます。
平均寿命が長い国ほど、新型肺炎の感染率、死亡率が高い傾向

まず、筆者らは、平均寿命と新型肺炎の感染率(右)、死亡率(左)を調べました。すると、平均寿命が長いほど、新型肺炎の感染率、死亡率も高い傾向にあるということがわかりました。
次に、筆者らは、BCGを今も続けている国、BCGを以前は行っていたが今はやめた国に分けて解析を行いました。左右のグラフともに、全体の傾向を示す黒い線より上に、緑の点が多く存在することが見て取れます。このことは、BCGを今も行っている国のほうが新型肺炎の感染率も死亡率も低い傾向にある可能性を示します。
BCGを行う国では、新型肺炎の感染率、死亡率が低い傾向

更に、平均寿命が比較的長い国々に着目した解析が行われました。ここからも、やはり感染率、死亡率ともに、BCGを行っている国が一番低く、ついでBCGを以前行っていたが今はやめた国、そしてBCGを行っていない国、という順に高くなる傾向にあることがわかりました。このことからも、BCGを行っている国のほうが新型肺炎の感染率も死亡率も低い傾向にある可能性が示されました。
では、BCGを行えば、新型肺炎の問題はすべて解決となるのでしょうか?
交絡因子(背後の重要な因子)の検証の必要性
残念ながら、そのような結論を出すことができません。それは交絡因子という概念を考える必要があります。
例えば、BCGを行う国は清潔である傾向があるとします。実際には、その清潔であることが、新型肺炎の感染率や死亡率を抑制するのに重要であるとしても、一見するとBCGによって、その感染率や死亡率が低下してしまっているようにも見えてしまいます。
(詳しくは述べませんが、筆者たちは交絡因子をなるべく排除するような工夫をしています。が、手法上の限界で、100%除ききることは不可能です。)
そのため、現時点では、BCGが新型肺炎の感染率や死亡率に関係がある可能性を示すものの、
「BCGにより新型肺炎が予防できるかどうかはわからない (予防できるかもしれないし、予防できないのかもしれない)」
「今後、さらなる検証に期待が持たれる」
と結論付けられます。
個人的には、BCGが新型肺炎と関連しているのではないか、だからこそBCGが行われている日本では、欧米よりも状況がまだ良いのではないか、と考えています。しかし、まだまだ検証が必要です。
(20/04/17追記)
著者の宮川先生のツイッターより、予想されている交絡因子を除いてもBCGの効果は観察されるようです。心強い結果ですね。ただし、残念ながら交絡因子を完全には0にできないので、結論は変わりませんが。。。
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